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忠犬ハチ公の実話はどこまで本当?大学と渋谷区の資料でたどる

渋谷駅前の像で知られる忠犬ハチ公。映画や絵本の話のうち、記録で確かめられるのはどこまでか。大学や区、博物館の資料から、確かめられる一生と今も会える場所をたどります。

公開日 約 5 分で読めます著者 イヌコミ編集部
忠犬ハチ公の実話をたどる|冬のはじめの縁側でおすわりする秋田犬

この記事でわかること

  • ハチは1923年に大館で生まれ、上野博士と暮らしたのは1年余りでした
  • 博士の死後に駅で待った話は資料で一致し、毎日の駅の送り迎えは記録に無いとされます
  • 渋谷の像は1948年の2代目で、剥製は国立科学博物館にあります
目次

渋谷駅前の銅像で知られる、忠犬ハチ公。

映画や絵本で知った話のうち、どこまでが記録でたしかめられるのでしょうか。

本記事では、大学や区、博物館が公開している資料だけを使って、ハチの一生をたどります。

たしかめられること、資料によって書き方が違うこと、いまも会える場所の順に見ていきます。

渋谷や上野へ犬と出かける日に、話のタネがひとつ増えるはずです。

ハチは1923年に大館で生まれ、翌年に上野博士の家へ来た

ハチは、1923年11月に秋田県大館で生まれた秋田犬です。

生まれた翌年、東京帝国大学農学部の教授だった上野英三郎博士に引き取られました。

渋谷区の発表では、生後2か月のころ、渋谷町大向に住んでいた博士にゆずり受けられたとされています。

博士は、日本の農業土木学の創始者として知られる研究者です。

ただ、ハチが博士と暮らした時間は長くありません。

東京大学の広報誌によると、いっしょに過ごしたのは1924年(大正13年)の1年余りでした。

博士は、1925年5月に急に亡くなります。

博士が亡くなったあとも、ハチは渋谷駅で帰りを待った

博士の死後、ハチは預け先から抜け出して渋谷駅に戻り、帰りを待ち続けたと記録されています。

その姿は、1932年に東京朝日新聞で「いとしや老犬物語」として報じられました。

渋谷区の発表では、これで名前が全国に広まり、「忠犬ハチ公」と呼ばれるようになりました。

1934年には、渋谷の有志の手で銅像が建てられます。

4月21日の除幕式には、ハチ自身も参列しました。

ハチの遺体が渋谷駅の南側で見つかったのは、翌1935年3月8日の未明です。

毎日駅で送り迎えをした話は、東京大学の資料では記録に無いとされる

よく知られる「毎日、渋谷駅で博士を送り迎えした」という場面は、東京大学の資料では記録に無いとされています。

東京大学の教員は、博士は駒場にあった大学へ歩いて通っていたと書き、毎日電車で通勤したかのような話は誤りだとしています。

自宅から徒歩10分ほどの道のりに、反対方向の渋谷駅を使うとは考えにくい、という指摘です。

博士が電車を使ったのは、西ヶ原の農事試験場を訪ねるときなどでした。

ハチの送り迎えは、大学の正門の前あたりまでだったのだろうと推測されています。

同じ記事は、博士の死後に駅で待つ姿から逆算して、生前も毎日駅で送り迎えしたという話ができたのだろうと見ています。

その出どころは、1934年11月発行の修身(戦前の小学校の教科のひとつ)の教科書あたりだろうとしています。

1987年の映画「ハチ公物語」にも、現実にはなかったはずの場面があるという指摘です。

一方、渋谷区の発表は、渋谷駅の改札口までの送り迎えが日課だったと書いています。

資料によって書き方が違うところを、表にまとめました。

表では、渋谷区の報道発表を「区の発表」、渋谷区立図書館の資料を「区の図書館」と書きます。

資料によって書き方が違うところ
項目資料ごとの書き方
博士が生きていたころの送り迎え区の発表は渋谷駅の改札口まで。東京大学の広報誌は、大学の正門の前あたりまでと推測
渋谷駅で待った長さ区の図書館は7年。区の発表は約10年
亡くなったときの年齢区の図書館は13歳。区の発表は11歳

どちらが正しいかを決める資料は、本記事で調べた範囲では見つかりませんでした。

ここで使った資料は、博士の死後もハチが渋谷駅で帰りを待ち続けたという骨組みでは一致しています。

こんな話も載っています

東京大学の広報誌には、教員が学生のころ授業で「ハチ公は渋谷で焼き鳥をもらうのが好きだっただけかも」と聞いた話が出てきます。

駅にいた理由をたしかめた記録ではなく、授業で聞いた話としての紹介です。

渋谷の銅像は2代目。最初の像は戦争中に失われた

いま渋谷駅のハチ公口にある像は、2代目です。

最初の像は、1944年に戦時中の金属回収令(金属を集める決まり)で供出され、鋳つぶされました。

いまの像は、最初の像を作った彫刻家・安藤照の息子が手がけ、1948年8月15日に除幕されました。

東京大学の弥生キャンパスには、2015年に「ハチ公と上野英三郎博士像」が建ちました。

場所は、農学部の正門を入ってすぐのところです。

除幕式は、ハチの没後80年の命日に行われています。

像は学内外からの寄付で建てられ、犬と人との相互の愛情を象徴するものとされています。

像を提案した教授は、飼い主が東大の先生だったことは知られておらず、教職員でも知らない人が多かったはずだと振り返っています。

像は、飼い主と会えた喜びが伝わる姿をめざして作られました。

剥製は国立科学博物館に、お墓は青山に残る

剥製になったハチの遺体の保存先は、東京・上野公園の国立科学博物館です。

博物館の館内案内では、「おたずねの多い展示」のひとつとして忠犬ハチ公が挙がっています。

説明は「亡くなった主人を渋谷駅で待ち続けた秋田犬」です。

肺と心臓は東京大学に残り、2006年からは農学資料館で博士の胸像とともに展示されてきました。

お墓は、青山墓地の上野博士のそばに設けられています。

2016年には博士の夫人・八重子さんの遺骨も、ハチと博士が眠る青山にいっしょに葬られました(合葬)。

いまハチ公をたどれる場所
場所見られるもの
渋谷駅ハチ公口1948年に建った2代目の銅像
東京大学 弥生キャンパス2015年に建った「ハチ公と上野英三郎博士像」
国立科学博物館(上野公園)ハチの剥製
青山墓地上野博士の墓のそばに建つハチの碑

出かける前に

展示の内容や公開の時間は、変わることがあります。

行く前に、それぞれの施設の案内でたしかめてください。

犬を連れて入れるかどうかも、各施設の公式サイトの利用案内で先に確認しておくと安心です。

渋谷や上野へ、犬といっしょに出かけるなら

渋谷区の発表では、毎年4月8日に渋谷駅のハチ公前広場で慰霊祭が行われています。

像を見に行く日は、人の多い駅前で犬が落ち着けるよう、抱っこやカートの用意をしておくと安心です。

まちなかでのふるまいは、まちの同伴マナー検定 実践でおさらいできます。

像を見たあとのひと休みには、イヌコミで駅近のお店やペットカートOKのお店をさがせます。

上野へ出かける日は、公園近くのお店から選ぶのもひとつです。

犬連れのルールはお店ごとに違うので、行く前にたしかめてください。

ハチと博士の話は、犬と人の気持ちのやりとりを考えるきっかけにもなります。

愛犬とのやりとりは犬と人のコミュニケーション検定 応用でたしかめられます。

日本の犬の歩みをもっと知りたい方は、柴犬の歴史のコラムもどうぞ。

イヌコミでお店をさがす

この記事に出てきたような場面に合うお店を、条件からさがしてみてください。

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よくある質問

ハチ公はどんな犬だったのですか

1923年11月に秋田県大館で生まれた秋田犬です。生まれた翌年に、東京帝国大学農学部の上野英三郎博士に引き取られました。

ハチ公の話は実話ですか

博士が1925年に亡くなったあとも、ハチが渋谷駅で帰りを待ち続けたことは、渋谷区立図書館や渋谷区の資料に書かれています。一方、毎日駅で送り迎えをしたという場面は、東京大学の広報誌では記録に無いとされ、毎日電車で通勤したかのような話は誤りとされています。

渋谷の銅像は最初からある像ですか

いまの像は2代目で、1948年8月15日に除幕されました。最初の像は1934年に建ちましたが、1944年に戦時中の金属回収令で鋳つぶされています。

ハチ公の剥製はどこにありますか

東京・上野公園の国立科学博物館に保存されています。展示の内容は変わることがあるので、行く前に博物館の案内でたしかめてください。

出典・参考文献

  1. 渋谷区立図書館『ハチ公について知りたい』(閲覧日 2026-11-03)
  2. 渋谷区『渋谷のシンボル「ハチ公」が生誕100周年(報道発表 2022年9月8日)』(閲覧日 2026-11-03)
  3. 東京大学『広報誌『淡青』47号 特集「犬と東大」(2023年9月)』(閲覧日 2026-11-03)
  4. 渋谷区『渋谷駅周辺の見どころ』(閲覧日 2026-11-03)
  5. 東京大学『「ハチ公と上野英三郎博士像」除幕式のご案内(2015年2月9日)』(閲覧日 2026-11-03)
  6. 国立科学博物館『館内案内 おたずねの多い展示』(閲覧日 2026-11-03)
  7. 国立科学博物館『アクセス』(閲覧日 2026-11-03)

記事の内容は公開時点の情報にもとづきます。制度や数値は変わることがあるため、最新の情報は各出典でご確認ください。

健康情報に関するご注意

本コンテンツは一般的な情報提供を目的としたものであり、獣医師による診察・診断・治療に代わるものではありません。愛犬の健康に不安があるときや異変を感じたときは、動物病院・獣医師にご相談ください。

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